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重症化のジェンダー差とワクチンの性差 女性は男性より 少量
同チームは、米国や英国、豪州、フランスなど経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進8カ国の約2万2千人を対象に昨年3月と4月にアンケートを実施。その結果、女性の方が男性よりも約10ポイント、新型コロナウイルスの脅威を強く感じていた。また、マスク着用や手洗い、飲酒を伴う会合を含めた不要不急の外出を控えるといった感染予防対策に従っている人の比率も数ポイント高かった。
なお、過去に流行したコロナウイルス感染症の「SARS」(重症急性呼吸器症候群)と「MERS」(中東呼吸器症候群)も、男性の死亡率が同程度に女性を上回っていました。例えば2002~03年のSARSだと、香港の研究では全症例1,755件のうち男性の死亡率が21.9%、女性は13.2%と、男性が1.66倍(年齢調整後1.62倍)に上りました。
スパイクたんぱく質の形状や、ACE2受容体に対するさまざまな立体構造や変異に関する研究を通じて、新型コロナウイルスへの感染に男女でどのような差異があるのかが明かされるだけでなく、治療への道が開かれる可能性もある。「主な差異を解明できれば、その差異をなくすための薬を開発できる可能性があります。これにより、男性へのリスクを女性の水準にまで下げることが期待できます」と、ホールは言う。
中国疾病予防管理センター(CCDC)が、武漢市における昨年末~今年2月11日の確定症例44,672件を対象に分析を行った、当時としては最大規模の疫学的研究です。結果、新型コロナによる死亡率は、女性が1.7%だったのに対し、男性は2.8%。男性の方が女性の約1.65倍の死亡率でした。
イタリアのボッコーニ大学などの研究チームが昨年11月に米科学アカデミー紀要に発表した論文によると、女性の方が男性よりも新型コロナウイルスの脅威をより強く感じており、マスク着用や大勢で集まる機会の回避など、各国政府による感染予防対策にも従っている割合が高かった。
性差による免疫反応や重症化の違いなどは、今後のワクチン接種や治療方針にも影響する。季節性インフルエンザワクチンでは女性の方が副反応が強く出る一方、男性のほぼ半量で同じ効果が得られるという。新型コロナウイルスのワクチンでも同様の性差がみられるなら、女性は接種量を男性よりも減らした方がいい可能性がある。
その後、研究チームは、風邪コロナウイルスが持つ同様の配列を突き止め、これらの配列がSARS-CoV-2にも反応するT細胞を活性化し得ることを示した。今回の発見は、風邪コロナウイルスに対する既存の免疫がCOVID-19の重症度の差に寄与している可能性があるという仮説に重みを与えるが、この結論を裏付けるためにはさらなる研究が必要である。
持病を持つ人が重症化しやすい原因としては、「血栓が発生しやすくなる」という新型コロナの特徴との関連が考えられています。高齢者は健康であっても動脈硬化が自然に進んでいますし、特に心血管疾患や糖尿病は血管老化と密接に関わっています。
ホークスによると、公衆衛生セクターと社会セクターで労働力の70パーセントを占める女性は、女性特有の役割が原因で新型コロナウイルスに晒されやすいという。「多くの社会において、最前線で治療に携わる人たちは女性です。自宅においても女性が病気の親族や友人の世話をしています」とホークスは言う。「若年女性の感染者数は急増しているのでしょうか? それに対してわたしは何ができるのでしょうか? データを確認したい理由はたくさんあります」
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そうした中、8月26日付の世界的科学誌『nature』に、新型コロナ重症化の男女差を生み出す免疫学的なメカニズムを示唆する論文が掲載されました。
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2002〜04年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の原因ウイルスでもORF8遺伝子に同様の欠失が起きており、これがヒトに感染するために重要な適応である可能性を示唆していると著者らは言う。
米エール大学の岩崎明子教授の率いる研究チームは、感染初期の新型コロナ患者98人について分析を行いました。その結果、男性患者の血中には細胞から分泌される炎症物質「サイトカイン」(タンパク質)が多く含まれ、重症化の背景にあることが示唆されたのです。
ワクチンを注射した後にSARS-CoV-2に曝露したマウスの肺には、感染性ウイルスは見られなかったが、少量のウイルスRNAは見られた。これに対して、ワクチンを経鼻投与した後にウイルスに曝露したマウスの肺には、測定可能なウイルスRNAはなかった。この研究と他の証拠は、経鼻ワクチンが感染を完全に阻止することを示唆していると著者らは言う。
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