温室効果ガス排出実質ゼロ実現へ 肉食もプラスチック製品も制限AERA AERA
菅義偉首相が2020年10月26日、就任後初の所信表明演説で、「我が国は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言する」と表明した。これを一般には「実質ゼロ」というが、どういうことなのだろうか。
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実質ゼロは「脱炭素」とも言われ、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを徹底的に減らし、それでも排出した分を森林などで吸収してゼロにする。日本の現状の目標は「50年80%減」であり、排出ゼロの達成を「今世紀後半の早期」とした。
政府は2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げた。菅義偉首相が26日の所信表明演説で表明し、ようやく国と企業の目標の足並みがそろった。国際競争で後れをとらないためにも、政府には「50年ゼロ」を経済成長に結びつける戦略策定を急いでほしい。
欧州委員会は9月、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロを目指すことや、2030年の温室効果ガス排出削減目標を1990年比で少なくとも55%とする提案を公表し、10月にはEU環境担当相理事会で合意に達している。欧州議会常任委員会は2030年目標を60%とする案を提示しており、12月の欧州理事会に議論は持ち越されているが、いずれにしても、2050年にカーボン・ニュートラルを目指すことは確定している。
EUタクソノミーは議論の先陣を切ってきただけあって国際的な認知度も高く、ISOタクソノミーもほぼEUタクソノミーをなぞる内容となっている。中国やカナダ、マレーシアやUAEも独自のタクソノミーを作成済みもしくは作成中であり、ISOタクソノミーの開発がとん挫すれば、国際的な統一規格がないことになる。9月に否決されたことを受けて今後修正に向けた議論が行われることになるが、欧州タクソノミーの考え方をそのまま踏襲する内容では国際規格化することは難しいだろう。
欧州、中国、米国、日本や韓国が続々と2050年あるいは今世紀後半の早期における温室効果ガス排出実質ゼロを掲げ、実現性には疑問符もつくものの、もはや掲げる目標としてはネットゼロがデフォルトになったといえるだろう。
15年に採択された地球温暖化防止のための国際ルール「パリ協定」は、産業革命前からの世界の平均気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを決めた。そして2度未満に抑えるためには、今世紀後半に人間の活動による(=人為的な)温室効果ガスの排出量と、森林吸収分などによる吸収量が釣り合った状態にする必要があるとした。これが「実質ゼロ」や「正味ゼロ」などと呼ばれるもので、「カーボンニュートラル(炭素中立)」や「脱炭素社会」も、意味はほぼ同じだ。
地球温暖化防止のために、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標が掲げられた。「実質ゼロにする」とは一体どういうことなのだろうか? 小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2月号で、朝日新聞の編集委員がわかりやすく解説した。
家畜が排出するメタンガスなども温暖化の一因とされている(写真/gettyimages) 地球温暖化防止のために、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするという目標が掲げられた。「実質ゼロにする」とは一体どういうことなのだろうか? 小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」2月号で、朝日新聞の編集委員がわかりやすく解説した。
海外では脱炭素の時期を50年に設定しようとする機運が高まっている。地球温暖化が原因と考えられるハリケーンや豪雨、山火事が多発しているからだ。直近20年間の自然災害による世界の被害額は2兆2450億ドル(約240兆円)。国際社会は温室効果ガスの排出を放置すると甚大な災害によって経済危機が起きると警戒を強めている。
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具体的には人工的な植林のほか、石炭火力発電所や工場などから出る大量のCO2を地中に閉じ込める「CCS」、大気中のCO2を直接回収する「DAC」などの方法がある。だが、いったん大気中に出たCO2を回収するには、膨大な費用やエネルギーがかかり、その効果も限られている。前へ12次へ1/2ページ【関連記事】広瀬隆「二酸化炭素温暖化説の嘘が警告する地球の危機」〈週刊朝日〉さかなクン警鐘の「海の温暖化」で魚が小さくなるワケとは? 旬が変わるおそれも〈AERA〉今年は冬でもゴキブリに注意! ステイホームによる「温暖化」で行動変化か〈dot.〉いまさら聞けない「地球温暖化」はなぜ起きるの?〈dot.〉青森がリンゴの産地でなくなる日 地球温暖化が及ぼす影響とは〈週刊朝日〉最終更新:1/23(土) 17:00AERA dot.
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人間活動によって排出される温室効果ガスのうち4分の3を占める二酸化炭素(CO2)。このうち半分程度は、森林や陸地、海などに吸収される。残った半分が大気中のCO2濃度を押し上げているとみられている。CO2濃度をこれ以上増やさないためには、自然に任せるのではなく、出す分を自分たちの活動によって除去する必要がある。これが「実質ゼロ」の考え方だ。
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