藤井聡太二冠が師弟対決で3連勝 上座を譲った師匠が語った 強さの秘密
藤井聡太2冠が対師匠初の上座で杉本昌隆八段に3連勝12/3(木) 21:29配信1師匠・杉本昌隆八段(左)を相手に上座に着いて対局した藤井聡太2冠(提供:日本将棋連盟) 将棋の藤井聡太2冠(18)=王位、棋聖=が3日、大阪市福島区の関西将棋会館で指された第6期叡王戦段位別予選八段戦Cブロック2回戦で師匠・杉本昌隆八段(52)を先手の73手で下した。
「上座」をめぐる盤外戦は、これまで何度も繰り返されている。1984年、十段リーグで、当時名人位を保持して序列トップだった谷川九段が対局室に入ると、加藤一二三九段が先に上座に座っていた。谷川九段はのちに、「私の座る場所がなかった」と語っている。
師弟ともに1回戦を執念で勝ち抜き、実現した3度目の師弟対決。勝負は藤井2冠の3連勝で終わったが、真剣勝負の師弟戦で垣間見えたのは師弟愛だった。【写真】少年だった藤井二冠に将棋を教える杉本八段大阪・関西将棋会館で12月3日、行われる第6期叡王戦の段位別予選八段戦に注目が集まった。藤井聡太二冠と杉本昌隆八段の3度目の師弟対決が実現する可能性があったからだ。夢の対決が実現するには条件があった。師匠と弟子がともに1回戦で勝利した場合のみ、両者が2回戦で対戦することになっている。1日2局のハードスケジュールだ。 先に行われたのは師匠・杉本八段対畠山鎮八段の対局。終盤、AIの形成判断は90対10で畠山八段有利となるほど杉本八段は追い込まれた。攻め手も少ない中、驚異的な粘りを見せ、畠山八段の失着を誘う。たった1手で形成は逆転、AIは90対10で杉本八段有利となり、そのまま勝ち切った。あたかも師弟対決実現への執念が勝たせたかのような形となった。 1回戦を終えた杉本八段は、こう語った。「藤井と対戦できればそれは嬉しいですね。ただ、今年6月に竜王戦で指しているので、あまり意識はしてません」 師匠の大逆転勝利に応えるように、藤井二冠もベテランの長沼洋八段との1回戦に勝利。3度目の師弟対決が実現した。対局後、藤井二冠は「朝の時点ではわからなかったんですけど、結果的に師匠と対戦できるというのは、うれしく思いますし、全力を尽くしたいと思います」と答えた。 敗れた長沼八段も師弟対決を盛り上げるためか、「次の対局もあるからこの辺で」と言い、対局後に行う感想戦を早々に切り上げた。 舞台は整った。藤井の勝利からわずか2時間後の7時から3度目の師弟対局が実現することになったのだ。 2人の公式戦初対局は、師匠が七段、弟子が六段だった2018年3月の王将戦予選。杉本八段はこの対局を「勝っても負けても幸せに満たされる勝負」と言った。
今回、対局の場となった関西将棋会館「御上段の間」には、谷川九段をはじめ、歴代永世名人の掛け軸が並ぶ。その掛け軸を背にした最上座は、長年にわたり谷川九段の “指定席” だった。
この新旧「天才」対決を制したのは、藤井二冠だった。日本将棋連盟理事の森下卓九段は、藤井二冠の指し手に “王者の系譜” を感じたという。
1994年には、中原誠永世十段、谷川浩司王将(ともに当時)とのA級順位戦の対局で、続けて羽生善治四冠(当時)が上座に座ったときも、大きな波紋を呼んだ。当時、羽生四冠はA級に昇格した初年度だった。森下九段が当時を振り返る。
杉本八段は午前10時開始の畠山鎮八段(51)との同1回戦で、最終盤に大逆転し、まな弟子の勝ち上がりを待った。藤井2冠は、午後2時開始の同1回戦で、初手合いだった長沼洋八段(55)の粘りを振り切っり、約5か月半ぶりに師匠と対峙(たいじ)した。
この日、対局室に入った谷川九段は、みずから下座に着き、藤井二冠に上座を譲った。「棋界には、年齢など関係なく、序列上位の棋士が上座に座る慣習がありますが……」と話すのは、観戦記者の椎名龍一氏だ。
「序列は、タイトル保持者を筆頭に、永世名人などの永世称号保持者、九段、八段と続き、段位が同じ場合は、棋士番号が若いほうが上座に座ります。
将棋の最年少二冠、藤井聡太王位・棋聖(18)は3日、大阪市の関西将棋会館で指された第6期叡王戦段位別予選C組の準決勝で、師匠の杉本昌隆八段(52)を破り、決勝に進んだ。師弟対決はこれで藤井二冠の3戦全勝となった。
対師匠では初めて上座に着いての対局。杉本八段がタイトルホルダーになった弟子に敬意を払い、前もってカバンを下座に置いて“予約”。藤井2冠は「どちらも空いていたら下座に座るつもりが、先に荷物を置かれてしまって…」と苦笑い。師は「当たり前のこと。半年で2冠を取った成長を感じた」と目じりを下げた。
・藤井聡太、最年少二冠で気になる年収は「5000万円」
でも、藤井二冠が先に上座に座っていたとしても、谷川先生も自然に受け入れてくれたはず。それが、将棋界で繰り返される歴史であり、伝統なのだと思います」
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杉本昌隆八段(左)との対局に臨む藤井聡太二冠=3日午後、大阪市の関西将棋会館(日本将棋連盟提供)将棋の最年少二冠、藤井聡太王位・棋聖(18)は3日、大阪市の関西将棋会館で指された第6期叡王戦段位別予選C組の準決勝で、師匠の杉本昌隆八段(52)を破り、決勝に進んだ。師弟対決はこれで藤井二冠の3戦全勝となった。
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