小学校教員採用倍率が過去最低「2.7倍」の衝撃 「教職の魅力を理解してもらうことが大切」〈AERA〉(AERA dot.)

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小学校教員採用倍率が過去最低「2.7倍」の衝撃 「教職の魅力を理解してもらうことが大切」〈AERA〉(AERA dot.)
[MARKOVE] 教師になるための大きな一歩である教員採用試験の倍率が、近年低下している。試験に挑む学生たちやその周囲は、この影響をどう感じているのか。AERA 2021年3月15日号で取材した。[/MARKOVE]
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小学校教員採用倍率が過去最低 27倍 の衝撃

都道府県教育委員会などが令和元年度に実施した公立小学校の教員採用試験で、競争率の全国平均は2・7倍と過去最低だったことが2日、文部科学省の調査で分かった。バブル景気の影響で民間就職が好調だった平成3年度を下回った。2倍を切ったのは、採用試験を合同で行った広島県・広島市を一つと数えて計12自治体となり、前年度より2増えた。

2020年度の公立学校教員(小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭)採用選考試験の受験者総数は13万8042人で、前年から1万423人の減少、採用者総数は3万5058人で、前年度から106人増加、全体の競争率(採用倍率)は3.9倍で、前年4.2倍から減少となりました。小学校の競争率は2.7倍で、前年度2.8倍から減少、中学校の競争率は5.0倍で、前年度5.7倍から減少、高等学校の競争率は6.1倍で、前年度6.9倍から減少と、小学校に限らず前年度から減少しています。その要因としてあげられているのが、大量採用となった団塊の世代が定年を迎え、大量退職をしていること。小学校でいえば、2000年度に過去最高の12.5倍を記録し、小学校教諭になるには高い壁がありましたが、その20年後には採用者数は5倍に増え、採用倍率は2.7倍まで減少しました。文部科学省の分析では、「近年の民間企業等の採用状況が好転していることや新規学卒者の採用者数の増加等により、教員採用選考試験に不合格となった後、講師を続けながら教員採用選考試験に再チャレンジする層が減ってきていることが主な理由」としています。確かに新型コロナ感染が拡大する前の経済状況を考えると、新卒者の多くが民間企業に魅力を感じていたことは確かでしょう。しかし、教育現場の劣悪な労働環境に対し、教師を志す人が少なっていることを指摘する声は多くあります。現場の教師からの悲鳴もよく聞くでしょう(関連記事:『現役小学校教師が語る「教職」というブラック労働の実態』)。そこにきて、このコロナ禍です。現場では消毒につぐ消毒で業務がさらに増加。感染の動向によって右往左往し、非常に混乱していると聞きます。単に民間企業の採用が好調だから、退職者が大量にいるから……という理由では片づけることのできない状況なのです。採用倍率が低いとどうなるのでしょう。学校の先生になりやすくなるわけですから、教員志望者にとっては嬉しいことです。しかし教師の質の問題があります。一定の競争性があることで教室の質は担保される、という側面があるので、採用倍率を上げる必要があるのです。萩生田光一文部科学相も記者会見で「教師の人材確保と質向上の両面から、教師の養成や採用などの制度について検討を進める必要がある」と言及しています。教員の質が保てない?「競争率2倍未満」の県は…大量退職については、ずいぶん前からわかっていたことなので、地域の採用計画自体に問題があるのではないか、という指摘もあります。そこで公立学校教員採用選考試験について、細かくみていきましょう。都道府県別に公立学校教員の採用選考試験の総数(小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭)で見ていくと、最も競争率が高いのは「沖縄県」で8.1倍。「高知県」7.4倍、「兵庫県」「大阪府」が6.0倍、「三重県」が5.9倍と続きます。[図表1]公立学校教員採用選考試験の競争率 出所:文部科学省「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」より作成一方で最も競争率が低いのが「山形県」「富山県」で2.4倍。「佐賀県」「長崎県」2.7倍、「茨城県」「広島県」2.8倍と続きます(図表1)。続いて小学校*に限定して見ていきましょう。最も競争率が高いのが「高知県」で7.1倍。「鳥取県」「兵庫県」「奈良県」「沖縄県」と続きます。一方で競争率が低いのが「佐賀県」「長崎県」が1.4倍、「富山県」「福岡県」が1.6倍と続きます(図表2)。[図表2]公立小学校教員採用選考試験の競争率 出所:文部科学省「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」より作成一般的に選抜試験などにおいて倍率が2倍を切ると、採用者の質をキープできなくなるといわれていますが、競争率1倍代は10県に及びます。続いて中学校*。競争率の高いのは、「高知県」9.4倍を筆頭に、「三重県」「神奈川県」「青森県」「秋田県」。一方で競争率が最も低いのが「茨城県」2.6倍。「山形県」「佐賀県」「愛媛県」「広島県」と続きます(図表3)。[図表3]公立中学校教員採用選考試験の競争率 出所:文部科学省「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」より作成高等学校*で最も競争率が高いのが「新潟県」で31.2倍。新潟県で公立高等学校の教師になるのは、かなり難しい状況です。一方で最も競争率が低いのは「茨城県」で4.4倍。「山形県」「長野県」「岐阜県」「北海道」と続きます(図表4)。[図表4]公立高等学校教員採用選考試験の競争率 出所:文部科学省「令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」より作成中学校と高等学校では、すべての地域で「競争率2倍以上」をキープしています。*小学校と中学校、中学校と高等学校の試験区分を一部わけずに採用選考を行っている県があり、小学校のカウントでは東京都、大阪府、熊本県、中学校と高等学校のカウントでは、宮城県、千葉県・千葉市、東京都、富山県、石川県、福井県、沖縄県についてはの競争率のカウントは行っていない。小学校の競争倍率は「2」を切っており、危機的状況にあるといっていいでしょう。そこには業務負担が大きいことも関連していると考えられます。2022年度をめどに小学校高学年では「教科担任制」を導入するなど、負担減を進めています。教員の質の低下による弊害は、私たちの子ども世代が被りますし、強いては将来、その子どもたちに支えられる、私たち世代の生活にも悪影響を与えることでしょう。教員採用試験の競争率の担保。実はここ日本において、最重要課題のひとつといえるかもしれません。

公立小学校の教員採用試験をめぐり、競争倍率の低下が大きな話題となっているようです。たった「2.8倍」だったというのです。

受験者数を5年前と比べてみましょう(平成28年度採用と令和2年度採用)。小学校教員については、新規学卒者は5.9%減少、既卒者は22.1%減少していて、既卒者の減少の影響が大きいことがわかります(次のグラフ)。ここ数年大量採用してきたので、不合格者が少なかったため、講師になる人が減っています。その影響で、既卒者が少なくなるのは当たり前の話です。

小学校の教員採用倍率が過去最低。なぜ倍率低下は起きているのか?

令和3年度から小学校の35人学級化が始まる中、質の高い教員の確保が懸念される。多忙化が人気低迷の一因で、萩生田光一文科相は2日の閣議後記者会見で「『学校は大変な職場』というイメージを払拭し、教師が子どもの憧れの職業となるよう大胆な検討を進めたい」と述べ、教員の働き方改革に意欲を示した。

海外留学推進協会は、設立以来、大学生向けに海外留学(休学留学・学部聴講)のサポートを無料で行っている。2021年2月27日より、「世界の大学オンライン留学フェア 2021春」を開催しており、海外留学を検討する学生にとって貴重な情報収集の場となっている。 アメリカの都市部の大学は現在、「ハイブ...

教師になるための大きな一歩である教員採用試験の倍率が、近年低下している。試験に挑む学生たちやその周囲は、この影響をどう感じているのか。AERA 2021年3月15日号で取材した。【グラフ】下がり続ける 公立校教員試験の採用倍率はこちら*** 現役合格は過去最高の22人。昨年の教員採用試験で、沖縄大学(那覇市)のこども文化学科が残した実績だ。学生を指導する池間生子教授はこう話す。「どれくらい努力すれば採用試験に合格するかという認識が学内で確立しつつあります。目指す学生は全員が本気で取り組んでおり、その結果です」 学科では八つのゼミで約60人が学んでいる。多くが教員を将来の職業の選択肢の一つとして考えて入学するという。現場に出た卒業生が頻繁に大学を訪れ、採用後、即戦力とはならないまでも、学生時代から仕事のイメージをつかみやすい環境にあるのだという。 学生は主に沖縄県で働く教員を目指し、その沖縄県では2020年度採用の小学校の倍率は全国平均より高い4.3倍。詳細は後述するが、全国平均より高いものの、「倍率が下がる傾向にあるのは全国と同じ」(県教育委員会)だという。■「2倍」を下回る倍率も 倍率はどう影響するのか。池間教授はこう話す。「沖縄の若者は外に出ても戻ってくる子も多い。試験も以前より難しくなっているし、低下傾向にある倍率のおかげで合格しやすくなっているのかどうかはよく分かりません」 文部科学省は2月、20年度採用のため19年に全国で行われた公立学校の試験結果の概要を公表した。 調査対象は教員の採用を行っている47都道府県と政令指定都市など。小学校教員の採用倍率は全国平均で2.7倍と、調査を始めた1979年度以降過去最低となった。山形、福島、富山、山梨、山口、福岡、佐賀、長崎、大分、宮崎の各県と北九州市、合同で採用している広島県と広島市の13自治体では、倍率が2倍を下回った。 一方で、中学校と高校の採用倍率の全国平均も前年度を下回り、それぞれ5.0倍と6.1倍だった。小中高のほか、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭のすべてを合算した倍率は3.9倍と、これも過去2番目の低さだ。00年度の13.3倍をピークに、どんどん下がる傾向だ。

写真拡大 (全5枚)日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「公務員教員の採用試験」。昨今、競争率の低下が問題視されていますが、その現状はどのようになっているのでしょうか。「公立学校の教員採用試験」が大変なことになっている文部科学省より、2020年度採用の公立学校教員の採用倍率が発表されました。なかでも小学校の教員の採用倍率が全国平均で2.7倍と、過去最低になったことが大きく取り上げられています。

文部科学省は2日、2020年度採用の教員試験の実施状況を公表した。公立小学校の競争率は2.7倍(前年度2.8倍)で、1979年度の調査開始以来、過去最低を更新した。中学校や高校などを含めた公立学校全体の競争率も3.9倍(同4.2倍)で、過去最低だった91年度の3.7倍に次ぐ低さだった。

続いて小学校*に限定して見ていきましょう。最も競争率が高いのが「高知県」で7.1倍。「鳥取県」「兵庫県」「奈良県」「沖縄県」と続きます。一方で競争率が低いのが「佐賀県」「長崎県」が1.4倍、「富山県」「福岡県」が1.6倍と続きます(図表2)。

中学校教員採用については、新規学卒者は24.0%減少、既卒者は21.9%減少しています。既卒者の減少は、小学校の場合と同じ説明ができますが、新規学卒者の減少は、少子化の影響を差し引いたとしても、教員を目指さなくなった若者が多くなったことを意味します。民間企業や他の公務員に流れたということですね。小学校教員は中学校ほどではないとはいえ、一部にそういう影響もあるのだろうと推測できます。

都道府県別に公立学校教員の採用選考試験の総数(小学校、中学校、高等学校、特別支援学校、養護教諭、栄養教諭)で見ていくと、最も競争率が高いのは「沖縄県」で8.1倍。「高知県」7.4倍、「兵庫県」「大阪府」が6.0倍、「三重県」が5.9倍と続きます。

政府は2021年度から小学校で35人学級の導入を目指しています。

そして、逆に採用倍率が高い地域、また受験者数がそう減っていない地域が果たして、よそと比べて、すごくいい労働環境かと言えば、そうとも限りません。たとえば、小学校であれば、新学期にいきなり学級担任を任され、最大10教科近くも準備する必要があり、休憩時間もろくに取れない地域は多いですが、これは全国各地ほぼ共通の大問題であり、どこかだけが恵まれているわけではありません。

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